インビザライン治療を行う際には、「症例をしっかり選ぶ必要がある」もしくは「簡単な症例しか治すことができない」など、「インビザライン矯正の適応症は狭い」と勘違いしているドクターが未だに多いです。
しかし、現在のインビザライン矯正は、抜歯ケースや開咬症など、ほとんどのケースの治療が可能です。そのため、インビザラインの適応症は非常に広いということができます。
しかも、ブラケットやワイヤーを用いる矯正治療よりも仕上がりが良く、安全に治療できると断言することができます。
早期接触があるケース、咬合平面に傾斜が見られるケースなど、いわゆる何症例と言われると言われるケースにおいては、むしろインビザライン治療の方が安心して治療できるのではないかとさえ最近では思えるほどです。
インビザライン矯正の適応症は狭かった
インビザライン矯正が登場したのは、1998年です。
当時のインビザライン矯正の適応症は、確かに狭いものでした。インビザラインで治療できるのは、簡単な歯のデコボコ治療、しかも、成人の歯列矯正に限られていたからです。
しかし、現在では、抜歯ケースや開咬症のケースに加え、中学生や高校生にも安心して用いることができるようになりました。
その要因は、以下のようなインビザラインにおける革新的な技術開発があったからと考えられます。
インビザライン矯正は進化した
SmartTrackの登場
インビザラインの適応症拡大に、最も大きな革命をもたらしたのが、2013年のインビザライン素材の変更です。
「SmartTrack」と呼ばれるその素材は、これまでものより柔軟性がはるかに高い素材です。そのため、叢生が激しい部位にもアライナーをしっかり装着できるだけでなく、歯に対してチカラを持続的に加えることを可能にしました。
そのことによって、著しい前歯の叢生や前突があるケースなど、これまでインビザラインで治療できなかったケースの治療が可能になったといえます。
アタッチメントの進化
アタッチメントが大きく進化したことも、インビザラインの適応症が広くなった要因の1つです。
アタッチメントとは、歯の表面に取り付けるレジン製のポッチのことです。このポッチには、大きく2つの役割があります。
最初の役割は、歯にチカラを加えることです。様々な形態のポッチにチカラを加えることによって、歯の角度を修正したり、奥歯を遠心に移動したりすることが可能になります。
もう1つの役割は、アライナーの維持することです。歯にしっかり押しつけることによって、アライナーが浮き上がることを防ぐ役割があります。
これにより、抜歯ケースや大臼歯を遠心移動するケースなど、難易度の高いケースの治療が可能になったといえます。
プレッシャーポイントの進化
プレッシャーポイント(または、プレッシャーエリア)の改良も、適応症の拡大に大きく関わっています。
プレッシャーポイントとは、アライナーの組み込む凹みのことです。プレッシャーポイントを付与することによって、アライナーから加わるチカラに対して、反対方向のチカラを歯に加えることができます。
これは、歯を挺出したり、歯軸を変更したりする際に非常に有効です。なぜなら、歯に挺出するチカラを加えた場合、歯軸も大きく変化してしまうからです。
このプレッシャーポイントのおかげで、開咬症の治療や前歯の細かな角度修正がスムーズに行えるようになったといえます。
まとめ
インビザラインの適応症は、決して狭くありません。ほとんどの症例に関して、インビザラインで治療することが可能です。
しかも、ブラケットやワイヤーを用いて行う矯正治療より、インビザライン矯正の方が仕上がりが良く、安全に治療できるといっても過言ではありません。
そのため、「インビザライン治療が主流になる時代がきっとくる」と確信しています。